「すごい時間割 創業者」
Googleでそう検索して見つけた鶴田浩之氏の過去ブログ。
そこには大学生になって初めて起業を意識し始めた私に、
「諦め」がちらつくほど
成功者の積み上げてきたもの、勝つべくして勝った者の歴史が記されていました。
本記事ではそんな鶴田氏が大学在学中に創業した、
「株式会社labit」の創業当時を以下の観点で分析します。
- 鶴田浩之氏と株式会社labitの基本情報
- 創業の動機
- 起業時に持っていた武器
- 起業時に足りなかったもの
- 突破口
- まとめ:私たちが学べるところ
鶴田浩之氏と株式会社labitの基本情報
| 項目 | 詳細情報 |
| 創業者名 | 鶴田 浩之(つるた ひろゆき) |
| 企業名 | 株式会社labit(ラビット) |
| 創業年/年齢 | 2011年4月/20歳 |
| 創業時の所属 | 慶應義塾大学環境情報学部(SFC)大学2年生 |
| 主要プロダクト | 「すごい時間割」 (登録学生二十数万人、講義情報110万件) |
| Exit/M&A実績 | 「すごい時間割」事業をリクルートグループへ事業譲渡 子会社であるゲームエイト社をGunosyへ株式譲渡 |
| 在学中の収益 | 大学在学中に立ち上げた3つの法人で、5年間で累計約2.8億円の税引前純利益を記録 |
創業の動機
鶴田氏は、明確な「やりたい事業」から起業したわけではなく、「経営者」という職業的スタイルへの憧れが根底にありました。
- 職業への憧れ:小学校の卒業文集で既に将来の夢を経営者と書いていた。
- 初期の自己評価の否定:中学生の頃に個人で数十万円を稼ぎ「不労所得で人生楽勝」と考えていた時期があったが、それを「資本主義の中のアリのフンのようなもの」だと自己評価し、真に魂が震えるような、世界を変える大きな事業を志すようになった。
- 時間の有効活用:大学の授業時間は全時間の15%程度しかないと計算し、残りの時間の大部分(5分の4)を起業家としての活動に費やすと割り切っていた。
幼少から既に見え隠れしている、天性の起業家マインドは恐ろしいものがありますね。
しかも鶴田氏は、
こうしたソフト面(マインド)の強みの他にハード面でも圧倒的な努力量で着実に成功の道のりを歩んでいました。
起業時に持っていた武器
以下は鶴田氏が成功までの道中に拾った武器です。
- 超早期のプログラミング/運営経験:13歳頃からWebサービス制作を始め、義務教育を離れていた期間、地方の古民家のコタツの中から1日14時間ずっとプログラミングに向き合ってスキルを習得した、個人サイトでは累計2.5億PVを記録した実績。
- 圧倒的な初期資金と会計知識:高校3年間でキャッシュを約1,000万円稼ぎ、そのお金がLabitの創業資金となりました。また、16歳で個人事業主登記し、税金を納めるために簿記とFP(ファイナンシャルプランナー)を独学で学習。
- 最先端の研究環境と人脈:慶應SFCに入学し、増井俊之研究室に所属。IoTが話題になるずっと前からネットワーク接続デバイスや電子工作に触れる研究環境に身を置く。
- トップティアの起業家ネットワーク:学生時代から、後にDeNAに高額で買収される『mery』の創業者など、同世代の起業家たちと交流し、互いに刺激しあう「スタートアップのホットスポット」に身を置いていた。
やはりこう見ると、大学生や社会人から起業に興味を持った後続に絶望を与えるだけの努力と才能が伺えます。
しかし、起業成功に必要なものを全て持っていたように見える鶴田氏でさえ持っていなかったものがあります。
起業時に足りなかったもの
圧倒的な実績の裏側には、彼自身の努力ではどうにもならない「致命的な欠乏」と「環境的な制約」が存在していました。
- 身体的な制約:小児喘息で小学校時代だけで15回ほど入院。公園での転倒事故により頚椎を損傷し、後遺症(30分以上立ち続けると頭痛や目眩)に悩まされ、小中学校9年間で約2年間相当は学校に行っていないという病弱な背景。
- 学力的な土台の欠如:出身高校の偏差値は40以下で、大学受験に向けて指導する先生がおらず、独学で大学を目指す必要があった。
- 知識の偏り:高校時代に1,000万円を稼いだ時でさえ、当時はマーケティングやファイナンスの知識を持ち合わせていなかった。
つまり、スキル・金・コネの全てを持っていた鶴田氏でも
その裏には身体・学力・基礎ビジネス知識において成功者のイメージからは意外なほど欠けている要素が確かに存在していたのです。
突破口
ではそうような「壁」を鶴田氏はどう突破したのでしょうか。
そこに私たちが参考にできる”再現可能な行動原則”があるはずです。
1. 身体 →「環境の最適化」で突破
病弱で体力に不安があるからこそ、
負荷を減らしつつ集中投下できる生活環境を“戦略的に”つくりました。
具体的には、
- 北向き1LDKマンションをSOHOオフィスにして、生活動線を最小化
- 物理的移動の負担を極限まで下げ、限られた体力を事業に集中
- 授業や環境も「刺激を得る装置」と捉え、無理をしないスタイルに最適化
体力がないからこそ、
環境を変えて体力を補う という発想で壁を越えたそうです。
2. 学力 →「外部の力と視野拡大」で突破
偏差値40以下の高校出身で、学力的な土台が弱かったため、
鶴田氏は 自分一人で戦わない戦略 を選びました。
- 優秀な共同創業者を半年かけて口説き落とし、実力を補完
- 休学して海外を放浪し、学力ではなく“視野”で戦う軸を獲得
- 大学も「知識を詰め込む場所」ではなく「アイデアの源泉」として利用
学力が弱いなら、
自分以外の頭脳や、外の世界からの刺激で補う。
これが彼の突破方法でした。
3. 基礎ビジネス知識 →「徹底した自己投資」で突破
鶴田氏はマーケもファイナンスも知らないまま高校で1,000万円稼ぎましたが、
その“危うさ”を理解していたからこそ、
知識不足は金で買うという割り切り を徹底しました。
- 稼いだ資金で300冊の本を買ってインプットに投資
- FPや簿記を独学し、会計知識をゼロから構築
- 重要な不足分を、最短距離で埋める姿勢を貫いた
知識が足りないなら、
金と時間を投じて埋める——それはシンプルで強い戦略でした。
まとめ:私たちが学べるところ
以上、若くして起業の世界に飛び込み成功を収めた鶴田浩之氏について、その成功の要因と私たちに学べる部分はないか分析してみました。
結論、鶴田氏には一見起業成功に必要なもの全てを持っているように見えて、
「身体の制約・学力の土台不足・知識の偏り」
といった、持っていなかったものが見つかりました。
それを鶴田氏は
- 環境の最適化
- 外部の力を巻き込む
- 自己投資の徹底
で解決して行動に移しました。
つまり、彼の成功を支えた核心は、生まれ持った才能や圧倒的な強みだけでなく、
足りない部分を認識し、泥臭く、しかし戦略的に補い続けた姿勢そのもの にあります。
この姿勢こそ、私たちが最も学べる部分ですし、
環境が整っていなくても前に進めるという、力強いメッセージにもなっています。
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